本川達雄さんの「ゾウの時間ネズミの時間」

産経新聞の朝刊2面に「話の肖像画」というインタビューの連載があって、9/3(土)からは生物学者の本川達雄さんがとりあげられている。

私の知人のランナーの幼なじみとのことだが、歌う生物学者としてテレビでもお見かけする。
歌う・・・ってのは生物学者がたまたま演歌かポップスのレコードを出してるとかじゃなくって、生物学という学問そのものを本川先生が作詞作曲して、ご自身のテノールで歌っているのだ。こちらでその一部を視聴できるが、ランニング愛好家としては「勇気りんりんアドレナリン」とか「ATPの歌」とかがグッときてしまう。「細胞はふえる」や「精子のぼやき」も秀逸だ。

今回のインタビューでは最近出された「おまけの人生」というエッセーがとりあげられている。
生物学的にみて人間の寿命は40~50年、文明のお陰で延長されたおまけの人生を感謝して生きようということもその中に書かれているようだが、ヒトの寿命が50年というのは平成4年の本川先生のベストセラー「ゾウの時間ネズミの時間」から続いているお話だ。

最近のマラソン中継では「○○選手は安静時の心拍数が35拍です」などと言うことも多いし、マラソン愛好家には心拍数は身近な数値だと思う。

「ゾウの時間ネズミの時間」の本では・・・
ゾウの心拍数は20拍/分、ネズミは600~700拍/分(これは触診はムリっ!!)、大まかに言ってサイズの大きな動物の心臓はゆっくり動き、小さな生き物の鼓動は早い。
そして70年も生きるゾウ、1年ぐらいで命を終えるネズミ。
その他にもいろんな動物の心拍数と寿命を調べてみると、どれも15億回ほど心臓が拍動してその一生を終えるらしいことがわかった。
1分とか1秒とかではなく、心臓の1拍という単位で時間を考えるとゾウの寿命もネズミの寿命も変わらないといえる。
逆にいえばゾウの1分間とネズミの1分間は同じではない。
動物にはそれぞれちがう早さの時間が流れているといえる。
(ただ、この動物のサイズによる時間や速度のちがいという概念自体は、運動生理学の古典的テキスト、P.O.オストランドとK.ロダールの「Textbook of Work Physiology」にとりあげられている・・・大学院時代に読んだ)

本川先生曰く、これを人間に当てはめると40歳から50歳が本来の寿命。
マラソン選手はともかく一般のヒトの心拍数が70拍/分とすると、確かに15億回で40年だ。

また心拍数は年齢とともに減少することから、子供と老人では流れる時間が違うとも述べている。
そういえば妊婦検診で聞いた胎児心音はトトトトトトッて感じで150拍/分ぐらいあったし、新生児で100拍/分。
赤ちゃんは毎日毎日目覚しい成長を見せるし、子供時代の一年なんてあっという間だった。
それに比べて中年にさしかかった今の私は・・・・

とここまで考えて、???
ひゃあ~、今の私も子供なみに早い時間を突っ走ってるのでは?
本川説によればもう人生も終盤の40代なのに、とても時間がゆっくり流れているとは思えない毎日だ・・・心臓だけは1分間に41回と超スローペースだが。
学生時代を終わるとき「今までは3年とか4年のサイクルで身分が変わってきたけど、ああ、これからは延々と『社会人』が続くのかぁ」とげんなりした記憶があるのだが、いや~、とんでもない、それからの20年のほうがナント波乱万丈だったことか。
私におまけの人生はどれだけ残っているだろう?

ところで「ゾウの時間ネズミの時間」がベストセラーになったお陰で、実は時々困った質問を受ける。そのとばっちりについてはまた明日。
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by runmama | 2005-09-06 19:21