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ピンはピンでも・・・

あと2km、長居公園に入ってから一人を抜いた。
あと500m、マラソンゲートからトラックに入るところでさらに一人をかわした。
どちらも15km手前で一旦置いて行かれた相手だ。
ピンはピンでも今年は一番ピンじゃない、ピン芸人の逆襲・・・ってか?

毎年この大阪国際出場にあたって考えるワンポイントテーマ、10年もすりゃあネタ切れだよなぁ・・・と切羽詰っていたところに、降って湧いたような梅林下り坂の路面問題。
Watch your step、足元注意!気をつけて!って意味だけれど、自分の足元を見る→現状を把握する→舞い上がるな・・・少し強引だがそう解釈することにした。

いやぁ、これ、ホントによかった。
もしこれが誰かからのアドバイスの言葉だったとしたら、私はゴール後真っ先にその人のもとに駆け寄り「ありがとう、あなたのおかげだわ!」と瞳を潤ませたにちがいない!

実はレースの3日前、刺激を入れようと1000mを走ったら3分35秒。
速すぎるんで3本の予定を2本で切り上げたぐらい、身体が動いていた。
けれど年末年始の40km走などは思うように走れていない、体調がよくなってきたのは最後の2週間であって、去年のような基礎固めはできていない。
舞い上がっちゃダメだ。
レースペースは2週前の30km走レベル、4分3~5秒で行こうと決めた。

ピンはピンでも・・・_b0050787_3233412.jpgそして1月29日午後0時10分、晴れ渡った青空。
数字の上ではスタート時に9.2℃と発表された気温も、陽射しのせいか15℃ぐらいに感じる陽気だ。
おかげでやはり身体が勝手に動いて入りの1kmは3分45秒。
ダメダメ、舞い上がるな。

「3番ピン」ぐらいの位置につけて5km、10kmをほぼ20分ペースで進むうちに集団は4人になった。
よく知っている地元の若いランナーJちゃんとKちゃんに前に出てもらう。
ペースが落ちてきた時だけ前に出て引っ張り、リズムができたらまた下がる。
よしよし、この中で一番余裕あるんは私やな。
・・・と思っていたら、14kmの森之宮駅前を左折して長い上り坂、あろうことか私一人が遅れ始めた。
えっ?えっ?登りは苦手じゃないよ、置いて行かれるはずがない!
落ち着け落ち着け、ラップを見ると3分50秒・・・3人がペースを上げたのだ。
よくもまあ上り坂でペース上げてくれるよ~、「若さ」かねぇ。
これは私のペースじゃない。
Watch my step、私は私のペースで行く。
ご縁があればまた後で!

ピンはピンでも・・・_b0050787_3124858.jpgってことで、ここからは一人旅のレースとなった。
だけどこの後35kmまで私は私の想定内のペースを貫く。
結果、一人、また一人と追い上げていくことになる。
それにツアーやクリニックのお客さま、チームの先輩方、切磋琢磨のトレーニング仲間、どこへ行っても大声援を独り占め。
何だか大ブレークのピン芸人みたいだ。
この点ではすっかり舞い上がらせてもらって、沿道からの声にガッツポーズや投げキッスで応えながら走り、最後は本当に晴れやかな気持ちでゴールしたのだった。

劇的な復活を遂げて2位となった小幡選手は23度目のレースで「楽しいマラソンを知ってしまった」とインタビューに答えて言った。
私は40本目にしてようやく「マラソンの走り方がわかった」ような気がする。
今思えば数年前まではまだ「賭け」のレースをやっていた。

2時間51分11秒。
自己ベストには及ぶべくもないが、数ヶ月のトレーニングの中で自分の状態を掴み、最終的に自分で設定した目標どおりにゴールできたこと。
これが一番うれしい。

そして24位という順位。
確かに不景気を反映しているのか、招待選手はじめ実業団の参加は減っている。
さらにそれらの上位選手がさまざまな理由で何人も欠場したおかげで、私の順位は上がった。
でも、この不景気にエントリー料を自分で払い、難しい気候の中で体調を整えてスタートラインに立った私たちはその時点で一人の勝者だ。
そうして先頭から24番目にゴールしたこと、これも素直に喜びたい。

レースを終えてしばらくの間はちょっと舞い上がっています。
応援して下さったすべての皆さんに感謝しつつ。
(写真:スタート直後 大久保さん、25km地点 さわちゃん提供)
by runmama | 2006-02-05 03:26